讃岐うどんの歴史
香川県(讃岐)には、弘法大師空海が唐の国からうどん作りに適した小麦の栽培方法と製麺技術を伝えたという伝説があります。
ただ、その頃の麺は、団子をつぶしたような形であったと推察され、現在のような長いうどんになったのは1688年〜1704年に描かれた屏風絵「金比羅祭礼図(こんぴらさいれいず)」の中に3軒のうどん屋が描かれているように、元禄時代(およそ300年前)の頃と伝えられています。この屏風絵は、うどんに関わる讃岐最古の資料で、香川がうどんの先進地帯の一つであったことを示しています。
讃岐は温暖で雨が少なく、良質な土壌などが小麦作りに適しており、讃岐で収穫される小麦は「三県麦」と称されるほど全国的に高い評価を受けていました。加えて、当時瀬戸内海地方では塩田による塩づくりが盛んで、兵庫の赤穂と並ぶ良質な塩の産地でもありました。その他にも、うどんつゆの素材となる小豆島の醤油、伊吹島(※)のイリコ等、品質の高い原料の確保が容易であったため、香川県(讃岐)ではうどん作りが盛んになり、広まっていったとされています。
※香川県の離島。香川県本土の西に位置する。
讃岐うどんの定義
- 基準:香川県内で製造されたもの
- 製造方法:手打ち、または手打ち式のもの
- 加水量:小麦粉重量に対し40%以上
- 食塩:小麦粉重量に対し3%以上
- 熟成時間:2時間以上
- 茹でる場合:茹で時間約15分以内で、十分アルファー化されていること。(アルファー化…澱粉に水と熱を加え糊化し、消化しやすい状態になること、茹で上がった状態)
讃岐うどんの特徴
讃岐では昔から各家庭でうどんを打つ風習があり、日常的に食べられてきました。冠婚葬祭の場にもうどんが登場するなど、讃岐の人々の生活に最も密着した食べ物となりました。今では各家庭でうどんを打つことこそ少なくなったものの、毎日うどんを食べる人も少なくないほど、最も身近な食のメニューとして愛され続けています。
讃岐うどんの特長は、なんと言っても麺にあります。見た目はつややかで、庖丁で切った角がすっと通っています。食感は、もちもちと弾力に富みながら、しこしこと確かな歯ごたえがある、他のうどんでは味わえないコシの強さが特長です。つるつると舌触りがよく、噛むごとにほのかな小麦の香りを感じることができます。
かけ、ざる、釜あげ、ぶっかけ、生醤油など、食べ方のバリエーションが豊かなことも、讃岐うどんならではの魅力です。